はじめに
最近、東洋医学が見直され、多くの医師が診療に取り入れています。中には漢方専門の看板を出しているクリニックもあります。これは、患者さんが安全性の高い薬を求めているということと、西洋医学が不得意とする生活習慣病が蔓延するようになったということが主たる理由でしょう。又、これからの医療はオーダーメイド型が主流になると言われています。
例えば、ガンの治療ですが、遺伝子を検査して個々の体質に合った抗ガン剤を選択するという試みがなされています。現在は、ガンの種類により投与する抗ガン剤の種類を決めていますが、これだと劇的に効果があらわれる場合もあれば、全く効果があらわれないばかりか、重篤な副作用が発現してしまう場合もあります。やはり、抗ガン剤の効果的な運用を考えると、体質の把握がキーポイントになるのです。
このことは、医療の現場では、かなり前から周知の事実でした。しかし、専門分野に分かれ、部分医学を実践している西洋医学では、体質まで把握することはできません。よく漢方医が、西洋医学は病気を診られても病人は診られないと言いますが、これは、そのことを意味しているのです。部分的に悪いところを治療しても、悪くなった原因、つまり、病気を起こさせやすい体質を変えなければなかなか治りませんし、たとえ治ってもすぐに再発してしまう可能性が高いのです。その点、漢方は体質診断のもとに個々に合った漢方薬を処方します。そうすることにより、病気の元が身体に住めない状態、つまり、悪い体質から良い体質にもってゆくのです。このように漢方は2000年以上も前からオーダーメイド医療を続けてきたのです。その意味では、最先端の医学と同じことになりますので、これからも益々利用者が増えることでしょう。
ただ、漢方薬は、独特の診断の元に処方されます。したがって、それが理解できないと正しい使い方ができません。下手をすると、効果がないばかりか副作用の心配もあります。そこで、本辞典を活用して頂きたいのです。漢方薬を服用される際に、是非参考にして下さい。そうすれば、自分に合った漢方薬を薬局で買い求めることも出来ます。
では、先ず総論として、漢方薬を処方するにあたっての基本的な知識を紹介しましょう。
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